大日本印刷株式会社（以下、DNP）は、“新規事業を同時多発的に生み出し続ける場所”というコンセプトのもと、新規事業創出プログラム「OneABスタジオ」を運営しています。
CINCAは2024年4〜7月のアイデア創出支援に続き、事業検証・事業構築フェーズを伴走。OneABスタジオが目標とする新規事業創出の加速に向けて取り組んでいます。本インタビューでは、アイデア創出以降のCINCAの支援内容・支援に対する率直な評価を、DNPの佐藤さん、内山さん、金井さんにお伺いしました。
持続的に新規事業を創出できる体制を作りたい
──今回取り組んでいるプロジェクトの概要を教えていただけますか？
OneABスタジオは「将来の事業のタネを創出・育成する」ことをミッションに掲げています。2030年までには持続的に新規事業を創出する人材の採用・育成や、持続的成長に向けた新技術の探索および事業化検証を強化していくことを考えています。
足元では、①アイデア創出、②事業検証とPoC、③事業化 という大きく3つのフェーズを段階的に進めている状況です。
──これまで抱えていた課題を教えてください。
CINCAさんに依頼する前は、立候補制ということもあり新規事業プログラムで毎年1〜2件のアイデア創出が限界でした。そのため、アイデア創出や事業検証の仕組み化・評価指標が完全には整理できておらず、判断基準が曖昧で事業が停滞する場面が発生していました。
アイデア創出フェーズの手厚い支援が、継続発注の決め手に
──アイデア創出に続き、事業検証支援を依頼いただいた背景を教えていただけますか？
アイデア創出支援では、CINCAさんがプロジェクトの進行を担ってくださり、短期間で成果が出ていました。そのため、事業検証支援に対しても成果を出してくれるだろうという期待感がありました。
また、CINCAさんは検証過程のノウハウを惜しみなく提供してくれるので、OneABスタジオの仕組み化の参考にもなるんです。生成AIを使ったアイデア出しのやり方などを共有いただき、以前よりもアイデアを沢山出すことができています。
「CINCAさんとなら、事業が失敗しても必ず学びが残り、次に進める」とチーム全体が感じられたことが大きかったですね。
圧倒的な牽引力のおかげで、事業検証を迷いなく進行できた
──複数の事業検証をCINCAが支援しました。率直な評価を教えてください。
どの事業でも進行管理からピボット判断まで具体的なデータを交えてリードしてくれました。「方向性に迷ったらまずCINCAに聞けば解が返ってくる」という安心感が事務局とチーム全体にありましたね。全ての疑問に対して回答を持ってくれているので、我々は目の前の事業検証に集中できました。
CINCAさんから普段使用されている事業検証のノウハウ資料も惜しみなく提供してくださったため、OneABスタジオ自体の仕組み化も非常に進みました。
また、実際に支援を受けてみないと伝わらないと思うのですが、とにかく”丁寧”なんです（笑）。チームメンバーへの接し方、言葉の伝え方、我々事務局のサポートなど、きめ細やかに対応いただいてます。
一方で、丁寧すぎる伴走ゆえに“CINCAさんを頼り過ぎてしまう場面”があります。今後は「自分たちの力で進むこと・CINCAさんのサポート」の2つのバランスをうまく取り、両立させていくつもりです。
──CINCAと他の支援会社で違いがあれば、教えていただけますか？
「事業を一緒に作ってくれること」が大きな違いですね。DNPは新規事業開発において外部から様々な支援を受けてきましたが、なかなか事業化に至りませんでした。
決してパートナー企業の支援内容が悪かったわけではなく、パートナー企業が上流戦略を描いてくださっても、我々の仕組み化が追いついていなかった部分があり、事業化までにスタミナが切れてしまうことが多かったんです。
その点、CINCAさんは、仮説出し・顧客検証・ピボットまでを週次のハンズオン支援で一気通貫してやってくださいました。我々が感じていた課題感とサービス内容がマッチしていたなと感じています。
共通言語が根付き、新規事業を作りやすい風土が生まれた
──CINCAの支援開始から約1年が経ちました。OneABスタジオの状況はいかがですか？
新規事業に前向きに取り組んでくれる社員の方が増えましたね。最近では、派遣社員の方や新入社員までが「OneABスタジオに参加できますか？」と自発的に声をかけてくださるようになっています。
OneABスタジオを通じて、今後もDNP全体の新規事業開発にプラスの影響を与えられたらと思います。
CINCAさんの支援を通じて、新規事業に関する共通言語・共通基準ができたのも大きいです。
今までは検証結果をどう解釈するのか、今何の検証を優先すべきか、次に進むための基準は何かなど、細かい点で担当者間の認識が少しズレていると感じることがありました。
CINCAさんの支援を通じて言語化が進み、社内のコミュニケーションが取りやすくなりましたね。
確かにチームメンバーの方と議論する際、「顧客と課題」が会話のベースになりましたね。当初は解決策や技術ありきで話が進むことが多かったですが、現在は「誰のどんな悩みを解決するのか」をメンバーの方々が深く考えてくださっている印象です。
──OneABスタジオとして、今年注力していきたい点を教えてください
PoCを低コストかつ短期間で実施できる仕組みを作り、途中で時間切れになるアイデアを極力ゼロにしたいと考えています。今までは「新しいインサイトを発見できても、スケジュール都合で事業検証がストップ」ということがありました。
良いコンセプトの事業アイデアがクローズになるのは我々も望んでいないので、チームメンバーがPoCを進行しやすい仕組みを整えていきます。
また、PoCに進む事業アイデアも増えてきているので、開発面のコストダウンも合わせて進めていきたいですね。
本気で新規事業を作りたい企業に最適なパートナー
──どのような会社がCINCAに合うと思いますか？
「必ず新規事業を立ち上げる」という覚悟があり、会社全体で新規事業にコミットできる企業にフィットすると思います。
新規事業開発は、常に社内ステークホルダーへの説明が求められたり、地道なエビデンス集めなど泥臭い作業が必要です。そんな中CINCAさんは事業化の可能性を少しでも高めるために、時に支援の枠を超えて惜しみないサポートをしてくれます。
我々に熱意があれば、その分だけ答えてくれるのがCINCAさんの魅力です。逆に、なんとなくの研修やアクセラレーションで“やった感”を得たいだけの会社とは相性が良くないと感じています。
また、新規事業プログラムを2〜3年実施された企業にもおすすめですね。プログラム立ち上げから一定年数が経過すると、会社から新規事業の売上を求められるケースが増えてくると思います。
CINCAさんはプログラムの支援〜事業化までのご経験もあるので、新規事業の成果の出し方が分からない、という企業さんも是非相談してみるのが良いのではないでしょうか。
CINCAさんは常にノウハウをアップデートし続けるため、伴走を受ける側にも同じ速度で学び、実行し、成果を出す姿勢が求められます。「収益を伴う事業を本気で創らねば」というタイミングの企業にとって、これほど頼もしいパートナーはいないと感じています。
今後は0→1の立ち上げだけでなく、グロースのところもぜひご一緒したいです。
