カシオ計算機株式会社は、G-SHOCKなどの腕時計や電子機器を提供するメーカーであり、2024年には時計事業が50周年の節目を迎えます。時計事業以外にも、教育や楽器などの多様なサービスを展開している同社ですが、さらなる企業成長を目指すために、新規事業の創出に取り組んでいます。

今回CINCAが支援したプロジェクトは、時計事業部からの「新たな分野での事業機会を模索したい」というリクエストがきっかけでした。

CINCAを支援先として選んだ経緯や、支援を通じて得られた成果について、同社の大林さん、菅野さん、佐藤さんにお話を伺いました。

G-SHOCKを活用し、新たな挑戦をしたい

ーー今回取り組んだ事業の概要を教えてください

佐藤さん
佐藤さん

G-SHOCKブランドの新たな取り組みとして、Web3、NFT、メタバースを活用した”VIRTUAL G-SHOCK“というプロジェクトを立ち上げました。実物の腕時計を展開するG-SHOCKブランドにとって新たな一歩であり、挑戦的なプロダクトになっています。

ーーどのような経緯から挑戦することになったのでしょうか

佐藤さん
佐藤さん

カシオ計算機株式会社では、「New CASIO C30プロジェクト」という2030年に向けた取り組みを推進しており、会社全体で新規ビジネスの創出に向けた機運が高まっています。その中で時計事業としても、新しい取り組みを模索していました。
当時NFTやメタバースがトレンドになる中で、各部署において、これらのサービスを活用した新規ビジネスの可能性を探っていました。新しい取り組みを成し遂げるためには、社内でバラバラだったアイデアの種をまとめる必要があると考え、部署の垣根を越えて、興味と意欲のある人材が集まり、プロジェクトへの挑戦が始まりました。

ーー進めていく中でどのような課題と直面されたのでしょうか

佐藤さん
佐藤さん

「新規事業の立ち上げ」「NFT・メタバース」という2つの領域に関するノウハウがなく、社内メンバーだけでの推進はかなり難しかったです。そこで、同じ目線に立って共に悩みながら事業を推進できるパートナーを探すことにしました。

大林さん
大林さん

有志のメンバーが集まって新規事業を進める、という形は社内で初めての事例です。そのため、自分たちだけで意思決定を下すのではなく、第三者的な立場から決断をサポートし、後押ししてくれる存在が必要不可欠でした。

戦略提案だけではなく、実行部分も支援してくれる安心感

ーーCINCAへの依頼を決めた経緯はどのようなものだったのでしょうか

大林さん
大林さん

単にNFTやメタバースの特性を活用した画一的な提案ではなく、カシオ計算機株式会社やG-SHOCKが取り組む意義のある事業を提案してくれました。また、本プロジェクトをNFTやメタバース事業としてではなく、新規事業として捉えたアプローチは新鮮さを感じましたね。

佐藤さん
佐藤さん

事業の方向性もプロダクトの内容も決まっていない状況だったからこそ、戦略を共に考えて、一緒に手も動かしてくれるCINCAを選びました。

ーーご依頼前に期待していたことや懸念点などはありましたか

大林さん
大林さん

自社だけでは難しい不確実な状況下で意思決定を行い、プロジェクトを前進させる推進力をパートナーに期待していました。大手の会社というよりは、柔軟かつ親身にサポートしてくれる会社を探しており、CINCAが候補として挙がりました。
しかし、当時のCINCAは創業2年目で資本金も100万円でしたので、私たちが望む支援体制を構築していただけるかどうかについては、不安を感じていたというのが本音です(笑)。
とはいえ、正式なご契約の前に、支援体制をはじめとする様々な事項について丁寧にご説明いただいたおかげで、安心感を持ってCINCAに決めることができました。

意思決定のサポートが心強かった

ーーCINCAへのご依頼内容を改めて教えてください

菅野さん
菅野さん

Web3、NFT、メタバースといった領域への参入検討をCINCAにご依頼しました。最終的には企画だけではなく、戦略の立案、具体的な事業案の検討、事業環境のリサーチ、システム開発など、事業立ち上げに必要なほぼ全ての項目において支援いただきました。
事業立ち上げにおいては考えるべきことが非常に多く、推進が遅れがちになります。そのような中、CINCAにはその都度考え方の整理をしていただいたことで、意思決定がスムーズに進み、大変助かりました。
プロジェクトを前進させる舵取り役を務めていただき、非常に心強かったです。

ご依頼したことで、会社にとって良い前例を作れた

ーープロジェクトの中で特に印象に残っていることはありますか

佐藤さん
佐藤さん

未経験の領域であったにも関わらず、プロダクトを世の中に送り出すことができました。挑戦を通じて得られたものは非常に大きかったと感じています。
サービスのリリース前後では次々と問題が発生しましたが、CINCAには夜遅くまで一緒になって調整を行っていただき、ぎりぎりまで尽力してくださいました。
会社としての新しい取り組みが検討で終わることなく、実際に前進できたことが大きな成果だと考えています。

ーーどのような会社がCINCAに合うと思いますか?

大林さん
大林さん

新たな事業の立ち上げを検討している際に、CINCAは非常に心強い味方となってくれます。研修としての参加ではなく、本気で事業を軌道に乗せたいと考えている人には、特にCINCAとの協働をおすすめします。
現時点では、主に事業の立ち上げ支援に力を入れていらっしゃいますが、将来的に事業立ち上げ後の成長支援にも対応いただけると、より長期的な視点でのサポートを受けられるので、大変ありがたいと思います。
ぜひ今後の事業展開の中でご検討いただければと思います。

株式会社NTTドコモは日本を代表する通信事業の企業です。
通信事業の傍らで、「社会的インパクトをもたらす新規事業をスピード感をもって創出する」をテーマにしたdocomo STARTUP CHALLENGEというプログラムを実施しています。

持続的に様々な領域で新規事業の立ち上げを行う中で、今回は「アイディエーションから始め、多くの案を並行して検討し、事業化までつなげたい」というご相談を頂きました。

結果的にご支援を通して検証してきた生成AIを活用した学習マンガ事業「LearningToon」が2024年4月1日にドコモからスピンアウト。

2023年にCINCAとお取引いただき、どのようなところに魅力を感じ、どのような結果が生まれたのか、本プロジェクトに関わった、木本 東賢さんにお話を伺いました。

不確実な領域の中でも事業を作りたい

ーーまずは、新規事業の検討を開始した背景を教えてください

木本さん
木本さん

経緯としては、全社的に子ども向けの新規事業を創っていこうとする流れがありました。大企業的な事業の立ち上げに加えて、リーン・スタートアップをベースとした新規事業開発も同時にできないか、と考えて新規事業開発部でプロジェクトチームを立ち上げたのが発端です。

木本さん
木本さん

ただ、若年層に向けての事業アイデアを持っている訳でもなかったので、アイディエーションから含めた進め方に課題を感じていました。
今回のようなスタートアップ的で不確実な領域でも、確度高く事業を作りたいという思いがあり、CINCAに依頼をしました。

過去の経験からスピード感が課題だった

ーー 過去にはどんな事業を考えていたんですか?

木本さん
木本さん

研修の延長で、飲食業の店長をスキルアップすれば転職できるんじゃないか、という発想から、人材の育成・マッチングみたいな事業を考えてました。
その時に阿部さんにアイデアを壁打ちしてもらって、「こういう風に切り替えたら需要はありますね」というアドバイスはいただいていました。

木本さん
木本さん

そのアドバイスをもらっていたタイミングで既に合計6ヶ月くらい検証を進めていたのですが、PSFで上手く行かず。
300回くらいインタビューしたり、飲食店の店長たちに毎週パソコンを教えたりとか色々やったんですよ。ただスキルを習得するには時間がかかりますし、もっと効率の良いやり方が合ったはずで。とにかく時間がかかるのがしんどかったですね…。後から振り返ると、もっと効率的にできる要素がかなりの部分であったと分かり、検証方法のブラッシュアップが必要だと痛感しました。

ーー つまりCINCAに依頼をした決め手はスピード感ですか?

木本さん
木本さん

そうですね。僕自身が経験したところもあって、やっぱりいかに最短で仮説を検証できるかと、早く失敗できるかが一番重要だったかな。

ーー逆に、依頼するときに懸念されたことはあるんですか?

木本さん
木本さん

あの…会社のサイトがあやしくってですね…。
あれっこの会社、本当に大丈夫かな?っていうのは感じました(笑)

CINCA 阿部
CINCA 阿部

あの真っ白いやつか(笑)
…言い訳すると、あれもMVPということにしましょう。

木本さん
木本さん

逆に言うと、それ以外は全く無かったですね。すべてを委ねようくらいの気持ちでいましたよ。

アイデア出しから2ヶ月で事業化の方向性が見えた

ーー CINCAへの依頼はどこから開始でしたっけ

木本さん
木本さん

最初はアイデア出しのところからですね。海外のスタートアップの事例を参考に2つのアイデアまで絞りました。1つ目が子ども向けニュースの事業で、2つ目がSNSの事業だったかな。でもどっちのアイデアも検証してみたら全然刺さらなくて。

木本さん
木本さん

インタビューの中で「学習マンガのサバイバルを読んでいる」というインサイトが得られたので、学習漫画が良いんじゃないかという発想になりました。すぐにマーケットリサーチを進め、ピッチデックのフォーマットに沿って事業構想練っていくと、事業案として魅力のあるものになりました。学習マンガって意外と売れていることがわかったんですよね。それならやってみよう!と、予算取りから顧客検証まで進めました。

ーー 漫画事業のときは顧客検証のフェーズからでしたよね

木本さん
木本さん

そうです。LPの制作、広告での効果検証から入っていただきました。一応学生や子供向けというベースはあったので、子供がいる親向けと、社会人向けの2つに絞って検証しました。

木本さん
木本さん

ここでも一緒に検証する中で、リベラルアーツ的にやったほうが良いんじゃないというご提案もいただいた結果4つのセグメントで検証する方向になって。

木本さん
木本さん

そのセグメントのうち一つのCPAが1,700円くらいに着地しそうになって、たった2ヶ月だけど収益性から見ても事業の可能性が見えてきました。

異常な検証数とスピードという社内からの評価

ーー ドコモ社内からはどんな評価だったんですか? 

木本さん
木本さん

当時の僕が本業の方で持っていたのがビジネスコンテストの運営で、さらにもう一つコンテストを追加して、そこにさらにマンガとSNSの事業2つを検証してたんですよ。途中からは森林カーボンクレジットの検証を追加したり、docomo STARTUPのリブランディング・制度設計をやったり。

木本さん
木本さん

色々と抱えすぎている状態でCINCAさんと3つのアイデアまで検証していたので、社内からはアイツいったい何やってるんだろうみたいな、すごいを通り越して変な目で見られてましたね(笑)

発足から約1年で事業が子会社化

  • 2022年10月:子供向け事業のアイデア検証からスタート
  • 2023年1月:子ども向けSNS事業と、検証の中で生まれたアイデアの漫画事業の2つでPSF検証を開始
  • 2023年6月:漫画をAIで作るためのSPF〜MVP検証を開始
  • 2023年11月:MVP検証が完了
  • 2024年12月:リードVCの出資内諾
  • 2024年4月:社会人向けAI学習漫画サービスとしてスピンアウト

ーー プロジェクトを振り返ってみた感想はいかがでしょうか?

木本さん
木本さん

めちゃくちゃいろんなことやりましたけど、やっぱりSPFでAIを使ったオペレーションを組むのにコストを使いましたよね。

CINCA 阿部
CINCA 阿部

AIで漫画を作ろうと考えるのは簡単でしたけど、やっぱりめちゃくちゃ奥が深かったですね。ここらへんはちょっと僕らも知見がないのもあって、すごいいいパフォーマンス出したかっていうと、結構微妙なところもあって、本当に手探りでしたね。

木本さん
木本さん

おまけに技術が週単位の速さで変わっていくという。課題が多すぎて、毎週もうやめようって思ってました(笑)

木本さん
木本さん

それでも1年半でここまでこれたかぁと思うと、感じるものがありますね。

CINCAさんは本気で向き合って、一緒に汗をかいてくれる

ーー 最後に質問なのですが、木本さんからみてどんな会社がCINCAに合うと思いますか?

木本さん
木本さん

自分たちがやりたいことを100%その通りにやってほしいなら、違う会社にお願いしたほうが良いと思います。だけど本当に成功する事業を作りたいなら、CINCAさんとアイデアを検証して、捨てて、良いものに絞り込む過程から一緒にやったほうがいいですね。

木本さん
木本さん

こちらもそれなりのコミット量も求められるので、その気がないならやめといたほうがいいなとも正直思ったりします。アイデア出しから検証まで全部やってもらえるのも魅力だと思うんですけど、検証してもらったものを渡されてもその続きができる人ってなかなかいないので。

CINCA 阿部
CINCA 阿部

事業構築の段階で全く知見がなかったAI領域の検証に対しても、めちゃめちゃコミットしてくれていたのが嬉しかったですね。僕自身も答えがなくて、不確実性の高い領域のなかで、答えを模索し続ける姿勢といいますか。諦めずにチームとして一緒にやりきれたのがありがたかったです。