NTTコミュニケーションズは、高齢者の医療・介護・生活領域におけるDX支援に向けた新規事業の創出に取り組んでいます。
新規事業開発に向けて様々な検討を進める中で、「仮説検証を短期間で行い、事業の可能性を見極めたい」という想いからCINCAにご相談いただきました。
支援を通じて、どのような成果が得られたのか。本プロジェクトに関わったNTTコミュニケーションズの廣田龍太郎さん、本田舞さん、上田貴一さんにお話を伺いました。

CINCAによる伴走支援で、事業の検証スピードが加速
──今回、取り組んだ事業の概要について教えてください。
私たちのチームでは、医療・介護・福祉といった高齢者領域において、通信やスマホといった自社の強みを活かしながら、新たなソリューション提供の可能性を模索していました。なかでも、家庭内での見守りやコミュニケーションを支える高齢者向けビデオ通話サービスを、法人向けに展開できるかどうかを見極めたいという思いがありました。
そこで今回、CINCAさんにご協力いただき、顧客が抱える課題やニーズをお聞きしながら事業検証を進めました。最終的には、訪問看護のオンコール業務に対する看護師の負担が大きいという課題を見つけ、現在は高齢者向けビデオ通話サービスを活用したソリューション提供を通じてPoC検証を進めています。
──これまで抱えていた課題を教えてください。
顧客の声を聞いて検証するというフェーズに進めていなかったことが、最大の課題でした。
対象となる市場や顧客を定め、外部パートナーとの連携を通じて事業を推進していたものの、社内での議論に時間をかけすぎてしまい、なかなか市場に出て仮説検証するところまでは至っていなかったんです。
本プロジェクトに参画する1年前から同じような状態が続いており、「事業検証の進め方を再検討すべきではないか」とプロジェクトメンバーに提起しました。そうした背景から、いくつかの候補企業さんにお声がけし、パートナー選定を進めていったという流れになります。
──CINCAを選んだ決め手を教えてください。
CINCAさんを選んだ決め手は、短期間で仮説を立て、顧客の声をもとに必要であれば柔軟にピボットする、という実行力のある進め方をされていたからです。新規事業においては、そのような姿勢を「あるべき姿」として語られることが多いですが、CINCAさんはまさにそれを体現されていると感じました。
──CINCAに依頼したときに描いていたゴールを教えてください。
高齢者領域において顧客課題を解決する新たなソリューションを創出すること。その解決手段として高齢者向けビデオ通話サービスを軸に据えて戦略的に展開していくことでした。
高齢者向けビデオ通話サービスをtoB向けに展開するという大きな方向性の中で「どの事業領域にニーズがあるのか?」を仮説検証する必要がありました。
──最初から高齢者向けビデオ通話サービスを使って新規事業を立ち上げることを考えていたのでしょうか?
本プロジェクトが発足した当初は、高齢者向けビデオ通話サービスを使わなければいけないという指示があったわけではありませんでした。
医療や福祉といった高齢者領域における新たなソリューション提供の可能性を模索するというミッションに立ち返ったとき、欠かせない要素として「見守り」と「日常的なコミュニケーション」が浮かび上がりました。そこで、家庭内に端末を設置し、これらを担える高齢者向けビデオ通話サービスを戦略的に活用できるのではないかと考え、議論が進みました。

仮説検証を素早く回し、クイックに方向転換
──CINCAの支援を受けてみた感想はいかがですか?
特に印象的だったのは、CINCAさんのスピード感です。我々だけでは出せないスピードでプロジェクトが進んでいく感覚がありました。
その背景には、支援内容がフレームワークとしてしっかり整理されていて、プロセスに無駄がないことがあると思います。「この流れで進めましょう」と明確に示してくださるので、こちらも安心できましたし、非常に進めやすかったですね。
また新規事業では、最初のイメージとズレたアウトプットが出てきてしまい、そこから修正に時間がかかることも多いのですが、今回はそういったロスが一切なかったんです。これはとてもありがたかったですね。
私自身、事業開発に対する知見があまりない中でプロジェクトに参画したのですが、短期間でさまざまな事業案を試すことができ、非常に学びの多い経験になりました。
──検証において、特に印象に残っている出来事はありますか?
社内の関係者に対して「ニーズがないことが明確になった」と、インタビュー結果をもとに説明できたことは大きな成果だったと捉えています。いろんなアイデアを検証していく中で「これはなさそうだからやめよう」と判断するタイミングが何度かあり、ハードでしたが、根拠を伝えることができたことは良かったと感じています。
結果的に、訪問看護の領域にニーズがありそうだと見えたことも、大きな一歩でした。

事業開発の推進力を求めるなら、CINCAを試してほしい
──現在はPoC検証に取り組まれていますが、CINCAにご依頼いただいた当初の目的に近づいていると感じますか?
そうですね。事業化に向けたステップとして、中期的な目線で設定したKPIは概ね達成できています。
今後は、いくつかの医療機関と連携して新たな価値創出を模索したいと思っています。地域医療の新たなモデルを作ることが、私たちが目指す最終的な目標の一つなので、その中核を担うような医療機関と一緒に検証していけたら嬉しいです。
──どのような会社がCINCAに合うと思いますか?
新規事業の検討が思うように進まない大企業こそ、CINCAの支援が特にフィットすると思います。
既存の事業領域だけでなく、新しい領域にも取り組まなければならないという認識をお持ちの企業は多いです。次々と生まれている新たな市場に対応していかなければならないと考えているものの、既存の組織体系や意思決定プロセスではスピーディに進めることが難しいというギャップに悩んでいる方々にとって、CINCAの支援が大きな助けになると思います。
特に、仮説検証を繰り返しながら、顧客の声を拾い上げ、事業化に向けた動きに取り組みたい方にとっては有効ですね。
※NTTコミュニケーションズは、2025年7月より「NTTドコモビジネス」へ社名変更しました。
※本内容は、2025年5月時点の情報です。