大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、“新規事業を同時多発的に生み出し続ける場所”というコンセプトのもと、新規事業創出プログラム「OneABスタジオ」を発足しました。事業アイデアの創出から事業検証、PoC、事業化まで一気通貫で実行できる環境と推進体制を整備し、新規事業の創出に向けた動きを加速させています。
新規事業開発に向けて様々な取り組みを実施する中で、「新規事業のノウハウを社内に定着させるだけでなく『事業創出』という成果につなげていきたい」という想いからCINCAにご相談いただきました。
これまで同社が抱えていた課題や、支援パートナーにCINCAを選んだ理由、事業化に向けた意気込みについて、DNPの佐藤さん、金井さんにお聞きしました。
「事業化」に向けて必要だった、行動し続けられる環境づくり
ーーこれまで抱えていた課題を教えてください。
DNPは、新規事業開発において外部から様々な支援を受けてきましたが、事業の創出までには至らないという課題を抱えていました。決してパートナー企業の支援内容が悪かったわけではなく、上流戦略の策定や推進に必要な知識とノウハウのインプット、それらを定着させるためのプログラムの実施だけでは、新たな事業やプロダクトは生まれづらかったんです。生まれても、それらが事業拡大する前にスタミナが切れてしまうというケースに陥りやすく……。なかなか思うように進まない状況でした。
OneABスタジオは、2030年までに達成したい具体的な売上目標を掲げています。そこから逆算すると、必要なアイデア数やPoC実施数、事業化件数などは明らかでした。
そのため、OneABスタジオの「スタジオ」という名が示すとおり、“事業化に向けて行動し続けられる環境”を整えたいという想いがありました。
再現性の高さ、実行力を伴う事業づくりが、依頼の決め手に
ーーCINCAとの出会いを教えてください。
昨年、オープンイノベーションを支援しているeiiconが運営する「Japan Open Innovation Fes」に参加したんです。CINCAのブースも出展されていて、そこで佐倉さんとお話ししたのが最初でしたね。新規事業開発の支援を受けた後の事業化プロセスにいくつか課題を抱えていて、その相談をしたところ、お互いの目線が合っていたのか、とても盛り上がったんです。
今でも鮮明に覚えています。ちょうどその頃は「新規事業開発に関するコンサルティング支援を受けたものの、うまくいかなかった」という理由で弊社に相談をいただくケースが増えていて、様々な企業の方とお話していました。多くが、ちゃんと失敗しきれておらず、「なぜ、うまくいかなかったのかわからない」といった状況なのに対し、金井さんの場合は、「なぜうまくいかなかったのか」までしっかりと理解し、仮説を立てられていたので話が早かったですね。
その後、佐倉さんからご連絡をいただき、改めてCINCAが提供するサービスの詳しい説明を受けました。CINCAの思想や、提供しているサービスについて話を聞いたときに「これならDNPのカルチャーにフィットして、現場一人ひとりがしっかりと実行できるかも」と思ったんです。
新規事業開発プロセスにおける事業アイデアの創出やハンズオンによる支援方法において他のパートナー企業と比較して強い手触り感があり、再現性が高い点に魅力を感じました。
新規事業開発に関して多くの課題があった中、とりわけ0→1フェーズについては手付かずとは言わないまでも、いろいろな施策を断続的に実施し、模索している状態でした。0→1は事業開発の源泉ですし、まずはそこを立て直したいと思っていたところで金井さんからCINCAの話を聞きました。
コンサルティングとは異なる、CINCAのハンズオンによる伴走支援や、プロセスの仕組み化を追求している姿勢がとても魅力的に映りました。CINCAなら実効性のある取り組みができそうだな、と直感的に思いました。
“売上100億円規模”から逆算し、アイデアを創出する
ーー「OneABスタジオ」という構想は、CINCAと出会ってから考えられたそうですね。
はい。“スタジオ”のような形で新規事業開発をプログラム化できたら良いね、といった話が出てきたんです。佐藤さんや私をはじめとした社内で課題を認識しながらも、なかなか有効な打ち手が見えてこなかった中で、CINCAとの出会いをきっかけに構想が一気に膨らんでいきました。
ーーOneABスタジオのミッションについて教えてください。
OneABスタジオは「将来の事業のタネを創出・育成する」ことをミッションに掲げています。2025年には2件の事業化を達成し、OneABスタジオとして売上100億円規模を目指します。2030年までには、持続的に新規事業を創出する人材の採用・育成や、持続的成長に向けた新技術の探索および事業化検証を強化していくことを考えています。
足元では、①アイデア創出、②事業検証とPoC、③事業化 という大きく3つのフェーズを段階的に進めています。
ーーミッションの達成に向けて、これまでどのような取り組みをされていたか、セガワさんから共有いただけますか?
2024年4月からCINCAによる支援を開始し、7月頭にかけて「アイデア創出」を進めていました。冒頭で佐藤さんがおっしゃったように、OneABスタジオは2030年までに具体的な売上目標を掲げています。そこからブレイクダウンすると、かなりのアイデア数を出さないといけません。
短期間でたくさんの事業アイデアを生み出すことにこだわって、アイデア創出やブラッシュアップなど、ある程度メソッド化されたノウハウをインプットし、実践とフィードバックのキャッチボールを繰り返しながら具体的にアイデアを磨き上げています。
惜しみないノウハウ提供で、事業化を加速
ーーOneABスタジオが始動して約3カ月が経ちました。状況はいかがですか?
持続的に事業アイデアを創出するために必要なノウハウや型を学んでいます。もっとも、アイディエーションはプロセスの一部であり、ゴールは事業化です。その後の事業検証やPoC含め、最終ゴールの事業化に向けて数も質も追い求めていきたいです。
アイデア創出フェーズにおけるCINCAの伴走を受けた率直な感想ですが、想定以上のクオリティと熱量があるという印象を受けました。アイデア創出だけでもこれだけのノウハウがあり、特にアイデアの壁打ちは、スピード・活動量・質の観点で内製では現状到達できないレベルです。また、生成AIを使ったアイデア出しなど惜しみなくノウハウを提供してもらっています。
実際に進めながら、内製できる部分と引き続きご支援いただきたい部分が見えてきており、早くも次年度に向けてスタジオの改善ポイントもまとまってきています。
CINCAは事業検証を得意としていると伺っていますので、これから始まるフェーズがより楽しみですね。
“覚悟”をもって未来の事業を創出したい企業にフィット
ーーOneABスタジオの今後の展望と、意気込みをお願いします!
短期的な目標としては、今年度中に2件事業化することです。まずは、それを絶対にやり切る。長期的には「OneABセンター」という一部門内から「オールDNP」という全社を巻き込んだ活動にしていきたいですね。
OneABセンターに限定してしまうと事業ドメインがICT系コトづくりに絞られ、3万人以上いるDNP社員の一部に留まります。オールDNPへと広がれば、使えるリソースもノウハウも技術も増える。最終的に「オールDNPスタジオ」に昇華すれば、おのずと事業化できる件数も増えるし、質も上がっていくと思います。 この短期と長期の展望を持って取り組んでいきたいです!
佐藤さんと同様に、OneABスタジオから「OneDNPスタジオ」になれるように頑張りたいです。今、進めているプログラムだけでなく、CVC(Corporate Venture Capital)のような機能や、より外で事業を動かしやすい組織体を作るところも検討していきたいです!
ーー最後に、どのような企業がCINCAに合うと思いますか?
新規事業にコミットできる人材はいるものの、質・量ともに不足している企業や、知識やノウハウを学ぶ研修だけでなく、事業を立ち上げる「実践」にもプライオリティを置いている企業は、特にフィットすると思います。
実際に支援を受けて痛感したのですが、本に書いてある内容を読むのと実践することではレベルが全く違います。CINCAは実践力を提供してくれる伴走メニューがありますし、ノウハウも惜しまず提供してくれるので、事業化に向かいながらも自然と人や組織が育ってきている実感もあります。それに、CINCAは基本的に投げた球に対して何でも返してもらえる印象です(笑)。
新規事業開発における研修でも、新規事業ごっこでもなく、新規事業創出の“覚悟”がある会社がCINCAとマッチすると思います。
新規事業は不確実性が高く、ステークホルダーへの説明コストもかかり、推進者の熱意と根気が必要です。日々の活動においては、あらゆる変化に対応して、高速で仮説を設計し、意義のあるアウトプットを出し続けていかなければならないものだと思います。そんな新規事業を創出する上で、CINCAは事業創出の可能性を高める実践的メソッド、コミュニケーション環境、熱意を持った具現化のための伴走など惜しみない支援をしていただけます。
ただし、この支援は魔法の杖ではないので、新規事業を創出をしたいメンバー、事務局、承認者の覚悟がなければ充分に力を発揮しないと考えます(自戒の念も込めて)。
繰り返しになりますが“覚悟”をもって未来の事業を創出したい企業の皆さまはCINCAとの事業創出を検討してみてはいかがでしょうか?