ドコモグループでは、事業環境や社会の変化に柔軟に対応しながらドコモグループの未来を牽引していける人材の育成に向け、入社3年目の社員を対象とした「チャレンジプロジェクト〜イノベーションコース〜(以下、チャレンジプロジェクト)」に取り組んでいます。
1〜3人が集まってチームを形成し、新規事業に必要となるスキル・マインドを大量にインプットしながら、自らの事業アイデアを検証します。講義と実践を繰り返しながら、一年間を通して新規事業の創出を目指すことがゴールです。
CINCAでは「チャレンジプロジェクト」のカリキュラム作成から講義、課題のフィードバック、メンタリングをご支援させていただきました。今回は、チャレンジプロジェクト運営事務局の戸田さん、受講者の渡邉さんに、CINCAに依頼した背景や受講した感想について伺いました。

上層部の「後押し」の傍らで不足していた「機会」と「育成」
──ドコモグループでは、約8年前から新規事業研修に取り組まれていたようですね。どのような目的があって、CINCAに相談を持ちかけていただいたのでしょうか?
大きく2つの目的があります。一つは、新規事業研修を通して0から1を生み出す力を持つ事業構想人材を育てることです。特に、大企業においては、既存事業の業務にリソースを割くことがほとんどで、ゼロから事業を立ち上げる経験が乏しいのが実情です。若手社員が挑戦を通じて成長し、次世代の事業を担う人材を増やしたいと考えていました。
もう一つは、社員同士のエンゲージメントを高めることです。チャレンジプロジェクトを通して社員同士が密にやり取りし、新たなコミュニティを作っていきたいと考えていました。
一般的に新規事業研修の依頼には、大きく2つのパターンがあるんですよね。一つは「スキルセットを身に着けたい」、もう一つは「社内で新規事業創出を応援する風土を醸成したい」という要望です。ドコモグループの依頼は、後者でしたね。実際に新規事業創出に対して応援してくれる風土がありますし、挑戦意欲の高い社員も多いです。
そうですね。ドコモグループの行動原則においても「お客様起点の事業運営」に向けた「チャレンジ」が掲げられており、経営幹部にも応援いただいています。
──ドコモグループ全体からの後押しがあった上で、今回CINCAに新規事業研修を依頼いただいたと思います。どのようなことを我々に期待していましたか?
新規事業を創出できる人材の育成と、新規事業の創出です。
先ほどお伝えしたように、挑戦を応援する風土はある一方で、新規事業の立ち上げをしたことがない社員が多いことから、新規事業研修を通してスキルを学びながら、顧客のニーズを直接捉えて事業を作る機会を得てほしいと考えていました。
実際に事業化まであと一歩のところまで進んでいるアイデアもあるので、今後は新規事業の創出にも期待していきたいですね。

“うまくいかない”という経験こそが、学びになる
──CINCAの研修を受けられて、みなさんからどのような声をいただいていますか?
参加者からは「阿部さん、厳しい」と言われていますね(笑)。
実際、受講されたメンバーから話を伺うと「阿部さんの講義で学んだことを実践してみたけれど、うまくいかない。難しい……」といった声が聞こえて、単に講義を受けるだけでなく実践を通して学ぶことも実現できていますね。CINCAさんに依頼した際に掲げていた目標を達成できていると感じています。
新規事業の立ち上げは、まだまだこれからですね。
──渡邉さんも、チャレンジプロジェクト受講生の一人です。現在、取り組まれている事業について教えていただけますか?
事業者向け次世代型メールツールを開発しています。コンバージョン改善や顧客ロイヤリティの育成に貢献することを期待して、事業検証を進めています。
──渡邉さんは、以前から新規事業立ち上げに興味は持たれていたのでしょうか?
はい。新規事業を立ち上げることにすごく興味があって、入社1年目には新規事業研修プログラムに参加したり、若手リーダー研修の一環としてビジネスコンテストに参加し最優秀賞をいただいたりしました。事業アイデアは考えられても、docomo STARTUPがめざす市場規模や要件は満たすことができず、実現にたどり着くのが難しいなと思っていました。
そんな中で、今回CINCAさんからいろいろ教えていただいて、ようやく事業化の手応えを掴み始めています。

実践とフィードバックの両輪で、経営者としての資質を育む
──研修では、講義や実践の他、渡邉さんの場合は事業を進める上での相談や事業の方向性を一緒にすり合わせていくメンタリングも実施されていました。改めて受講された感想を教えていただけますか?
CINCAさんの講義は、良い意味で情熱や熱意だけに頼らないですよね。事業アイデアの創出から検証方法、営業手法まで再現性ある方法で、実践的に教えていただいたので、ビジネスに必要な基礎能力を引き上げていただいたと感じています。
メンタリングでは、いつも忖度なく事業アイデアについて具体的なフィードバックをいただいていて。こうした的確なアドバイスをくれる存在がいて、すごくありがたいと感じていました。
──スキルやマインドにおいて、何らかの学びや成長はありましたか?
チャレンジプロジェクトに参加してまだ1年足らずですが、今までの人生の中で1番成長したと思います。
学んだことは本当にたくさんあるのですが……まずビジネス戦闘力がすごく上がったと思います。仮説を立てて検証したり、何らかの課題が生じた時に解決方法を自ら探し出したり。他にも、本業で経験したことがなかった営業についてもすごく学びになりました。
スキルだけでなく、メンタルやマインドの面においても、経営者に近づいてきたんじゃないかなと実感できることもあって。例えば、新規事業の立ち上げは、検証を進めていくと絶対に課題にぶち当たりますよね。それらの課題に対してすぐに解決策が思いつかないと、今まではどうしようと焦ってしまったり、ダメなんじゃないのと悲観的になったりしていました。CINCAさんから、できるところから始めて軌道修正しながら突破口を探していく姿勢を教えていただき、私もそういった動きをしなければいけないと考えが切り替わってきました。
他にも、チームを引っ張っていくことにおいても、今まで私が一番若手だったので自分でチームを作り上げたり、誰かにお願いしたりすることをあまり経験したことがありませんでした。
自分一人で頑張ればなんとかなると思っていたのですが、そうではなくチームとしての最大化を図るためにはどうすればいいのかといった発想を、CINCAの佐倉さんに教えていただきました。「もっとこう動かないとダメですよ」とすぐに実践できるようなフィードバックをいただき、チームメンバーにも気持ちよく動いてもらうための工夫や、周囲に良い影響を与えられるように自分がどう動くべきかなどもすごく学べました。

「研修の始め方がわからない」からこそ、CINCAで始めの一歩を
──これまで様々な外部リソースを活用しながら新規事業創出に取り組まれてきたと思います。その中で、CINCAはどのように感じられていますか?
CINCAさんの良さは、レスポンスの速さと、ドコモのことを知ってくれているという安心感ですね。
渡邉さんも実感していると思うのですが、Slackでメッセージを投げるとすぐに返信がくるんです。やりとりがスムーズですごくありがたいですね。
──ドコモのことを知ってくれている、というのはどのあたりから感じられましたか?
ドコモが目指す事業構想を理解した上で、それに沿った提案資料を作成いただいたり、サポートを受けられたりすることですね。
新規事業創出を支援されている企業はいくつかあると思うのですが、「ユニコーン企業を目指す」や「一部のユーザーに刺さるのであれば、事業化しましょう」などとイメージする新規事業の形態はさまざまです。仮に、参加者同士で良いと思っていた事業アイデアだとしても、ドコモグループが事業アイデアを審査する際に、審査基準に合わないケースがあります。
そういった点から、他社と比較して、CINCAさんはオペレーションコストが少ないと感じています。
──最後に、どのような企業がCINCAの新規事業研修を受けるべきだと思いますか?
新規事業を立ち上げたいけれど、その方法に悩まれている企業さんでしょうか。
チャレンジプロジェクトも、阿部さんと共にどんな研修内容がいいか相談しながらカスタマイズして決めました。新規事業研修の始め方がわからなくても、CINCAさんと相談しながら作り上げられるので、最初の一歩目を踏み出しやすいと思います。
受講者の目線でいうと、一度、新規事業研修を受けたことがある方には特に有効だと思います。私自身、新規事業研修を受けたのは今回が2回目ですが、熱意や情熱などのマインド面に加え、論理性を持ち合わせることが非常に重要ということがわかりました。2回目にもなれば、こうすれば上手くいくんだな、といったことがわかるので、2回目にCINCAさんの講義を受けるとよりうまくいくかもしれません。
たしかに、CINCAさんの講義はすごく論理的ですよね。パッションを高めるような講義はもちろん楽しいですが、それだと限られた時間でスピーディーに事業の立ち上げ方を学ぶことは難しいと思います。熱い想いを持ちつつ、論理的思考を学びながら「起業したい」「新規事業を立ち上げてみたい」という思いが強い方であれば、CINCAさんの講義にもしっかりついていけると思います!